一回目落選して二回目の応募で千歳町のアパート入居が決定します。ひとまずあたしのアパートにいたもので荷造りで追われる頃、子供を授かるのです。一人目は流産しそのあとすぐの妊娠でした。医者は大丈夫、すぐに妊娠出来ますよ?って言ってくれたそのことが現実になっていたのです。私は旧来のすべてを捨てて旦那と所帯を持って一回も旦那に帰って欲しくはなかった。矢上の実家ですが、それを平気で約束を反故にしてしまう旦那に呆れ返ることしきり・・・・こんな具合でしょっちゅう喧嘩は絶えなかったのです。お茶もいつしか行かなくなって私は妹美知を避けるように変化していました。妹と懇意になることは義母との接点を深めてしまう。私はどんな因習も避けたい姿勢でいたのです。もしも旧来のものでも許せるものがあったとするなら母親キミの所有したものだけ・・・赤ちゃんは女子ではないか?ってすぐさま直感があったのです。脇田家の三人娘は特にみんなから注目され、長女の静枝、一番下の娘、千鶴子は評価されまくりだった。私は一瞬で、本当は妹美知もミチではないのか?を想像したのです。当時カタカナが流行し、自分もそういう経過で名前をつけられたから。とにもかくにも千歳町が長崎の若者にとって憧れの場所だったことは確かです。