ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔220〕母が自分の母の形見であるお琴を、矢上にある五右衛門風呂で焼いてしまった話は有名ですが、もしも凡人なら、なんて酷いことをする??ってなりますが、ようちゃんはテレンパレンであっても少しだけ母を理解出来ると自負します。そういうものを爪弾ける家ではなかったということ?いいえ、母は脇田大佐を封印出来たくらいの強い意志の持ち主です。ある時、カっと来ることがあったんでしょう。悲しみという怒りに似たもの。ようちゃんには出来かねることが母には出来たのです。戦争をくぐり抜けてきた女性たちの強さや勇気を、別の形ではあるもののわかった気がするし、美知はあくまでも礼を通したのだと思うのです。九歳上の兄のお嫁さん。そして二歳年上。そういった序列を美知がわきまえないはずはない。ようちゃんはあくまでも自分はフリーダムで行こうとそう決めます。短歌を見せてくれた美知の気持ちや定期的に送られてくる結社雑誌も有難く読みはしますが、肝心なものが抜け落ちていることを発見する。区切りがない。三十一文字を区切りも付けず棒読みのように表わす短歌の手法にどこかで警鐘を促していたのです。