ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔218〕和田家はものものしい雰囲気で誰もが美知の最期を見守っていたのです。昭和42年七月二日日未明に美知は静かに息を引き取ります。タヤにとって最も可愛かった美知の死は打撃以外の何物でもなく、京都から呼び戻して半年も経ってはいなかっただけにショックは相当だった。ようちゃんは皆が美知の体を奇麗に拭いて、そして両方の手を胸の上で組ませたときに祈りました。美知と長い間会話をしていなかった自分を責めたのです。京都から帰省した美知は、反射神経が張り巡らされたライオンのように獰猛で、自分の人生は終わったのよ!!と吠えまくっていて、女性の気品の塊だった美知の感性自体が、他の異なものとすり替えられたも同然で、ようちゃんは距離を置いていたのです。美知は自分の姿で何かを伝えてはいまいか?人の指図通になった時に人生は困難を深めるというパラドックスで、肉親でさえ、そこを誤る時がある?美知がその辺を暗に伝えたことは後生脳裏に残ったのです。