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 容子の父親と知り合うきっかけをつかんだのはいいのですが、すでに母キミは他界したあと。もしも生きていたらどんなにか喜んだでしょう。私はしかし、この縁談を暫く親友には話さず、自分の中で温めるのです。結婚をして二人とも幸せそうでした。じっとしている時間もないくらいにめまぐるしく動いている。出産とそして結婚生活。夫やその家族との付き合い。それらを聞き想像して自分には敷居が高く感じるのです。まだ、母親が亡くなったことも自分の中で消化出来ず悶々としていたことも起因した。小学校でクラス担任をしている責任もあった。母は、お医者さんが家への往診で置いていった薬を飲んだまま亡くなってしまう。どう理解していいのか?母親は高熱で参っていたのか?風邪とはいえ悪質のものだったのか?わからないことは山積していたのです。私は二歳上の兄に憧れを抱き、出来れば兄のような人物と出会えたら!?って。結婚まで踏み切ることは可能かも?っとは思っていましたがそういう状況にはなっていません。容子の父親は何か重大なことを隠してはいまいか?そこが妹ミチの言葉の端々から漏れてくる。ミチは短歌も詠むと話していた。だからこそ根が正直なのでは?ミチは地元の普賢山祭りが四月にある!!その時に兄と一緒に登ってみたら?って積極的に自分の家に来ることを奨めるのです。