Ss312

 もしもここに二人の人物がいるとする。前者は130万円貯蓄ある男性。後者は、130万円借金を抱えた男性だ。姉のような人物ならどう取るだろう。解釈するだろう。きっと安易な取り方をしない姉だと僕は推理する。いかにも借金が悪いっていう見方を世間様は常道としてする。借金の標榜は相変わらず暗いし、しかも憂鬱を背負ってはいる。しかし姉は物事を一辺倒から見てはいないと僕は思う。貯蓄している男性は実直でそつがなくたぶんケチのお面を心に付けている。そうでもしなければ若くして130マンは貯まらない。一方借金130万円の男性はどうだろう。何に使ったのだろう。食費だろうか?生活費だろうか?遊興費だろうか?僕はその項目に姉は拘ると思うし、内容が良ければ、借金男を推挙するだろう。金をどこかに落としてきた・・・ということは悪い面ばかりでは決してないからだ。興味を持って精進して来たことに金が要る場面は誰にもある。この興味こそが人生海岸のボート、すなわちオールになる。人生海岸を開眼に姉は川柳で掛けるだろう。誰しも、貯蓄男を推挙するときに、姉はただひとり、負債を背負った男を綿密に見る。彼はどういう人生を送って来たのだろう。そこまで入っていく姉の心には何が、出没しているのだろう。金をただ貯めるだけなら誰にも出来るとは言わない。ただ、僕は浪費にもスポットを当てる価値があるとする姉の本心が見たい。