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 僕が姉を刺激したことがあった。アメリカで四十代で一躍有名になったあの歌手のシンデレラストーリーにじっとこっちを見ながら呼応した時のあの笑顔を忘れない。スーザン・ボイル。この歌手の歌唱力だった。歌い手の人生を左右するのは何を持ってか?と言われれば僕はまず、歌唱力を挙げたい。次に来るのが時代の要請だろう。どんな曲風を今の世代が待ち望むのか?いや、それは逆かもしれない。楽曲自体に牽引する力がある場合、大きな前兆としてそれは効を奏じ始めるだろう。音楽が優れていればみんなヒットするとは限らず、そこでの選別はプロが決めるとしても、僕達は大いなる音感デベロッパーだと自分のいる位置を喜ぶ。有線大賞で選ばれる楽曲はみんなが歌った比率なら、それはサイトの世界にも言えて同位。みんなが観覧すればする程センテンス自体はどこまでもメジャーになっていく。僕の姉には歌唱力はない。しかし声質という美味がある。その声に誰もが魅了される。みんなが聞いて納得するだろう自信が僕にはある。なぜ、そういう声になったのか?男でいう声変わりが姉にあったとすれば?ここで納得にいざなわれる。僕の声が普通の声だとすれば、姉はワンオクターブ高い。その背景は声変わり。中二の頃だったから全くの符合だ。僕自体の声変りもちょうどその頃だった。男子に生まれて本当に驚異なのは姉の心臓の毛。もはや日本の重鎮をも引き下がらせる毛。毛抜きでも抜けないと来ている。