Ss279

 僕は自分の手相をじっと見る。感情線、頭脳線、そして生命線。どれも欠けてはならないし人間の三要素と言える。頭ばかり良くても人の苦しみも想像出来ない。こういう人間は糞だし、今度は感情ばっかりで全然勉強もせず、ただただ遊戯に嵌る。こういうのもダメ人間だ。どこかに確固とした目標〔生命線〕、突出した拘り〔頭脳線〕、そして一生を賭けるくらいに没頭出来る仕事〔感情線〕を持てれば、男とか女の差異はなく立派だと言える。しかし僕には偉そうなことが言えない。立場はプー太郎に近いしそもそも年金も全く掛けてない。ここまで落ちて行った僕の経緯は曲がり角だったなあ?って思えるアントキの節もあって親の金で家を建てた時だろう。その時にもっと親に対する感謝の気持ちがあったなら?あんな使い方をしなかったな・・・ってそれは二十年も経過して判明する。お金が一杯あって余裕があった頃には気も相当に遣った。自分でも一回チップをあげることをしてみたいな!!って思っていた。スナック全員の女子にチップを弾んだこともあったが、後が気まずい。いつもかつもそれがあると、あっちは期待する。僕は行けなくなる・・・。金が無くなってしまったからだ。僕はそういう一面を若い頃、四十代の頃持っていた。しかし今思えばあん時の自分が希望で一杯だったことに当惑する。そして鮮やかに蘇る。金は失ってから輝き始める金ののべ棒かもしれない。持ってみないと金持ちの本当の気持ちなんか分からない。