Ss251

 極端な話、姉は既存の社会の枠組みとは全く違うものを生み出そうとしている。そこが機知でどうにかなるものなのか?アイデア止まりに終わるのか頭の中身をしかと眺めていたい。なぜなら天才と凡人は全く違うということを、まだ、理解出来ない人ばかりでそんな混迷の日本で、今何を論じようと馬鹿丸出し。むしろ姉の発想と展開、これからどこに力点を置くか、勝負の秤はすでに動き始めている。今までの既成概念はこうだった。代議士になれば最大級の出世だと....。東大を出れば人生安泰。しかし大枚貰っている割には、ちゃんと仕事をしている人間の割合がはっきり言って少ない。この地位に甘んじてしまったのか、心血を注いで仕事に精を出している人間の過少さに姉は見切りを付けたと言える。自分が構築する世界とこの領域に一線を画する方針を打ち出した。将来的に助け合いを拒んでいる訳ではない。しかし、はっきりボーダーを引く。白線の粉を捲き終わったところだろうと僕は推察する。培われた概念と理想は同じ屋根の下におれるが、全く違う考え、ちぐはぐな思いを抱く人とは難しい。母は図らずもそこを幼い僕達にきちんと明示してくれたのでは?好きとか嫌いでは済まない思想の落ち着く場所が存在した可能性はある。もしも好き嫌いの感情だけで姑たちを遠ざけた母なら、僕もここまで身を乗り出さない。母には遠い将来の勝算が奇しくも見えていたのだろう。