Ss231

 僕は何十年もニートだった。三十代から開始したニートもお決まりのコースを辿って行き、僕はこのニートが楽しい訳ないのに、段々止められなくなる。つまり惰性のエネルギーだ。ここでいう惰力は余り普段、語られることはないのでしたためておきたい。じんわり、やんわり時間の中に押し込まれて行く感覚のなんとも言えぬ感触・・・。時間との共生はニートを長らく経験した者でなければ語れない。しかも味わえない。僕達は社会の負の遺産として常に見詰められ、揶揄され、馬鹿にもされて来たにも関わらず、強い自己を持っている。このことに気が付いてない人々も多い。駄目だ駄目だって言われている内に、僕の反射神経が倍増しになっていく・・・そして僕に向かってダメだって言っている人間のマナコをしかと見る。睨むといってもいいだろう。相手には反発に映るかもしれないがそれでも僕は睨み返した。そうやって自己を強くして来たニートならものになる。時間を有意義に消耗するニートだ。己の思考を心の中にきちんと納め奇麗に整頓出来る。この精神力は誰にも負けない。三文字にすでに神が宿る。毎日を時計の針になって生きて来たからこそ、いつしかハリズムは生まれた。僕を愛してくれた母がいたから僕は立ち直れる。いや、今更、立ち直るっていうのはおかしい。僕はすでに人間として立ち上がっている。