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  家に帰宅すると困った表情で父は座り込んでいます。一応僕は家に帰るからと、そう一言言うのがやっとこさ...。離婚のことをちゃんと進めて行かないといけないは父の心にしっかりと刻み込まれ、その理由も私には格闘場面として見えたのですが、おぞましい現場のやり取りを父は私には伝えまい、そして決して今は娘を叱責はすまいと決心していることが目に見えて私も観念したのです。父にはそういう性癖があったのです。苦しんでいるのは他に誰がいるでしょう?子供達です。母親の理性を欠いた行動によってそのハプニングが起こしたいがみ合い〔修羅場〕を子供達はどんな気持ちで観戦していたのでしょう。自分達のお父さんは自分達にはいいお父さんでもどうやら、お母さんにとっては、おじいちゃんにとっては、大変な存在らしい。しかし私はここで伯母の言葉も同時に思い出すのです。なぜ、伯母は私のこの結婚の時に、近所のある夫婦の話を何回もしたんだろうって。旦那は酒飲みで仕事もしないのに奥さんが見事にカバー、そんな甲斐性もない旦那を支え、朝から晩まで働き子供達を立派にしたという話。その女性は和田家にも出入りしていてタヤが救援を呼ぶほど近しい。そういう立場であっても夫の悪口を一言も、溢さない。私がそこまでの出来た女性でない限り、この結婚は難しいを、最初から伯母が承知していたとすれば?とにもかくにも私はその夜、店を休むことなく出勤するのです。