サファイア・マン《かけがいのない男編》〔90〕今日は和田タヤの命日。和田家の核ともいえる人物の命日で、キャロルのこころも引き締まっています。還暦に向けて自分の人生をスムースに展開させる為にもこのタヤの検証がとても大事なことに気が付く・・・。父はタヤの長男として生まれすぐあとに弟輝彦は生まれるも疫痢で失くしてしまう。この辺からでしょう。タヤはともすれば父、貞彦を溺愛し、他の三人の娘達にある日、宣言する。冗談めかしてですがこの息子はあなたたち三人を引き換えにしてでも守るべき大事な息子なんですよと。これは伯母から聞いた話ですが、娘たちはほおおおおおと感動し、かつ辛辣な思いを巡らしたといいます。父の妹は歌人になってこのときの驚愕をいかに詠んだでしょうか。お花の先生になった専業主婦の長女、そして小学校教諭として四十年勤務した次女、この二人が父の姉になります。そして歌人である妹美知。この三人がガンクビを揃えて驚愕したのに誰もそこを表現しなかったことにはびっくりです。しかし類推があったのでしょう。小学校教諭だった伯母が容子ちゃん、書き留めておいてくれたら嬉しいわ、他ならぬ容子ちゃんならきっと和田家の顛末についてをしたためてくれると思う、だからこそ言うの。母親っていうのは男の子をこうも大切にしかも特別扱いしたのよって。