ルビー-ウーマンr389 りかちゃん通りで購入したスーツは二万弱は掛かってベージュの上下でした。しかしタイトなスーツではなくメルヘン調のツーピース。生地はウールに近いアクリルでボタンは背中でお洒落に見えた。女子大を卒業した後に、友人達と小旅行に行くみたいなチョイスです。私はすっかり身支度を終えてスーツケースに自信の会話力を畳み込みアグレッシブに彼の入店を今か今かと待ったのです。しかし、その日はわざと店対顧客の仕切りで行くとは前提で、なぜなら全くと言って彼に関心も愛着もなかった。しかも彼の上司への気持ちもいまだ渦巻く。心のどこかにその上司の近況に及んでも自然かもしれないと思いはする。親近感は唯一、小倉出身にあったのです。わたしも十代終わりのあの頃、小倉、魚町を歩いていたこと。運命の赤い糸が旦過市場から繋がって私の心を手繰り寄せていたのです。