ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔161〕全員が優しくしてくれる職場でキャロがのびのび働くことが出来たのも当時は今のように徹底してはいなかったこともあるのです。いらっしゃいませ!ありがとうございます!はいいますが、今のように業界語は徹底していません。それでも基本が大事でしっかり笑顔が出ていることが縁者のもとを頼ってきているという立地を確かなものにしているのを自覚していて、奥様やオーナーは気を遣ってくれるのです。どんな家で育ってお父様は何をしているの?中学の教員なんです。いつもキャロルを救ったのは父が教員です!と話すとたいてい扱いが厚くなって気を遣ってくれることでした。何の教科?社会です!ほお、お父さんに似ている?お母さん?キャロルはいつも答えに迷うのです。大きな目は母に似ていたけれど、鼻も口も体型も性格も父に似ていたのです。おまけに宵越しの銭は要らないという無頼派だったのです。働いているのは伯母さんの家に居候させてもらっている見返りだと思って割り切っていたのです。ここで、まさお君がドラマーの腕を上げさせてもらっている・・・そう考えるとバンドウーマンとして何とも言えないリッチな気分になったし旦過市場を彼と練り歩くときが一番開放感溢れる時間でした。そこでの一事は実は万事だったのです。