ルビー・ウーマンr350 政治や経済に造詣が深くその専門家でさえ票田がないと政治家を目指すことはない。それ位皆が、事前状況の推移に目をこらして出馬を判断するのですが、途方もない自信家の父は、又みずから散財しようとしておるのを止める方法はなく、もしもそれが出来るなら伯母だったでしょう。伯母なら厳しい口調で弟の軽はずみな行動を制止させることは出来た。しかしどういう風の吹き回しか、ある程度までは言いつつも、段々論調が柔らかくなった伯母です。弟の性向を小さい時から見てきた観察眼がそこには封じ込めてあったのです。確かに政治家になって世の中を良く出来れば一番もっともなこと、それでもその政治家になるには支持の票数が必要なのです。こんな子供でも出来る計算が、父に出来ないのではなく、あえてしない姿勢にあったと、私はこの一件を心の奥底で理解するのです。猪年生まれの父の干支が巡って来て、もしも生きていたなら九十六歳。黄泉の国できっと、僕は年男!!って皆に自慢していることでしょう。こんな自慢派の屈託のない父ですから、好むと好まざるははっきり分かれてしまうのだろうって。母はそういう父の性向を絶対に良しとはしません。ずっとそうでした。やれやれっていう感じで完全無視するのです。この瞬間、私が母の考えに付けていれば人生変わったかも?はあります。父の無謀な夢は、身内を恥じのどん底まで引き込んでしまうっていう大変な業だったのです。