ルビー・ウーマンr295 店に勤務する時に預ける場所は以前一回預けたことのあったざぼんちゃんに決めます。保育士さんの対応が完璧に近く、あの頃あの水準だったことを思うと胸がじーんとなります。自分が必要な総計15万円にこの保育園代を積んだ金額が厳密に言うと正しくて丼勘定でいいはずもない。しかしご祝儀価格というものがあるように、あたしにもイイコトが控えているように察知するのです。店ではいつも女子大生に見られ清楚な石鹸の香りがするってお褒めを頂きます。しかしそれも入店して一ヶ月まで。段々当時のことを思い出してイマ戦くのです。私はハイゼットに洗えない洗濯物を積んで二年目通過したことを鮮明に思い出す。一年目はまだ序盤も序盤、認識は甘かったのです。今、もう一回あの店を経験出来るとするなら、私は一匹オオカミなんぞを選ばずナンバーワンの女性の弁当持ちを目指したでしょう。子供を二人持ってクラブに稼ぎに行くのならそれが鉄則でした。しかし私は冒険〔アドベン〕を選んだのです。自分に備わる会話の力を試したかったのです。嘘と本当の間に漂う現実を小道具も入れながら脚本家並に露呈する。目立ってもいけません。先輩達の意向がいつもあってそれすなわち威光。そこまで了承していったことが逆に良かったのかもしれません。浦上駅のざぼんちゃんは私の小さなサクセスへの階段でもあったのです。