サファイア・マンs208 三十五歳と五か月の当時の自分を振り返ると、今の何倍もの苦労を抱えていて、それはそれは大変なのですが、どういう訳か全部を取っ払って、作歌の時間を作っています。きっと父の仕えなさい!!が私に圧し掛かっていたのだと思います。だから父の示唆はその後、私の生活姿勢をバックアップする方向へ作用して決して自分自身を見失うようなことにならないように支えたと言えます。私達はそもそも言葉をその通りに受け取りがちですが、言葉には殻が付いているとみた方が正しいのです。その殻の中身もそれぞれ違います。生卵かもしれないし半熟かもしれない。そういうことも想像せず言葉の形だけを鵜飲みしないように相手に質す!!ということを除外してはいけません。こういう我が道を行くライオンのような夫を持っていたからと弱気になって、最初から相手をちやほやすることは如何なものか?と。しかし父はじっくり腰を据えて逆に私を諭すのです。結婚は自分の思い通りにはいかないものだよ、ましてやあっちは初婚、いろいろな夢もあったろうに、そこまで見越して話し合いや容認する心で相対していくのが夫婦の機微になるって。ようちゃんはあえて、耳の外に聞くことにするのです。中に入れて自分が右往左往することは避けたのです。なぜなら、そうすることで歌人としての岐路を失うからです。