ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔239〕ようやくあの船乗りが陸に揚がって来る日がきます。それでなくとも、店内の固定電話に今週に帰る!!ニッポンに着いたらすぐお店に来るよ!!と電話連絡を受けていたようちゃんの胸は高鳴ります。一体船乗りはどんなお土産を抱えて帰ってくるのでしょう。もしや、求婚をされたりはしまいか?そういう想像力を逞しくしてお店のグラスをきゅきゅっと拭いていると前夫はまたカウンターに訪ねて来るのです。ようちゃんが相手しないといけないくらいに店は混んで来て車の話になるのです。今最も欲しいのはクルマ!!という私の話に彼は上機嫌で、ちょうどオレが車を買おうとしているから、一緒にいい車を見にいかないか?って誘われます。でもねえ、学校へは車では通学出来ないから、やっぱりいいわ、遠慮しておくわ~~って話すと、彼氏はいるのか?って質問されます。今、船で外国を航海しているの!!って答えると彼はほおおっていう表情で顔が真っ赤に紅潮します。その彼氏さんとはフィアンセのような人??って訊かれて、まだまだ、そういう段階ではなく、一回もデートしたこともなく、今度お土産を持って店に来てくれるの!!ってそこまで話すと、彼は溜飲が下りたように微笑むのです。