エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔6〕若旦那の店はおしゃれならせん階段を上った場所にあったもののその階段を旦那が後悔しているのです。窓ガラスをハート型にして著名人建築家に頼んだもののやはり従来のラーメンをイメージしてなのか二階へ階段で上がるという動作がやはり子供を連れた顧客の足を遠のかせているのでは?と。里子は逆療法を示唆します。若旦那の商売熱心に興味を超えた新密度をバイマシにさせていたのです。階段は雨の日は特に昇りたくないし、下りるときにも危ない。子供連れのそういう顧客が危険を承知でそれでも来てくれるのに雨の日増タマサービスをやることをアドバイスします。雨の日だから自然に遠のく顧客の足なら、逆に、店内でカッコイイムートン長靴を置いてみること、傘、子供用寝巻き。そしてそれらは遣い捨てにしないで傘を商売の道具にする。傘のビニールを欲しい人々、取っての部分を欲しいリサイクルもあることを紹介して彼の気持ちを伺うと彼は独身でいる理由や生き方にも触れてきて、将来の年金を本当に受け取れないかもしれない、それなら自分の人生を謳歌したが増しじゃないか?って。里子が思うのはこの国の真底の歪みでした。この事態を相当深刻に若旦那は捉えていて真面目さも浮き彫りになったのです。