ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔163〕まさお君は夜の六時くらいから十二時くらいまでバンドの勉強をさせてもらい、実際に自分が太鼓を打てるそういった場面もときどきはあったようで、休み時間に喫茶店にきて、それから少し話したらまた、クラブに戻るという形式を取っていたのです。しかしあの頃のキャロルの有り余る体力には参ります。朝は九時くらいからレジの仕事に就くのに、それを見込んでのこの喫茶店での張り込み・・・今思うと専業主婦の仕事以上だな!?しかもまさお君はその頃から、キャロルの大きな子供のような感覚でいたのです。同じ学年だけど彼はほとんど勉強というものをしていない、まともに学習していないから世間のことには疎かった。しかしキャロルは世間慣れていました。家にばかり閉じ篭る深窓の令嬢ではなく自分のペタルで人生をもぎ取ってきた組でした。学歴に頼まない人生の開花もあるはずだ、学歴にだけ賞賛する自分の父への反発はあったかもしれません。何もかも自己流、そして亜流。そんなキャロルがまさお君のドラムに対するとことんの拘りにヒントをもらったのをここは参考にしましょう。自己レベルは例え低くとも彼のように学習意欲が旺盛であればノビシロは確保され当然伸びることです。キャロルは音楽に関しての刺激を彼によってふんだんに与えられます。ジャズ演奏でいくか、作曲でいくかを早く決めておいてよ?って彼はうるさかったのです。