年をとったら子供の誰かに面倒を看てもらう・・・それこそがニッポンの常識で、いきなりキャロルがそれを言い出して、自分は長男のお世話になるんだに俺は参った。ジェラシーの炎である。長男の父親はキャロルの前夫になる。それを聞くと同時に俺は睡眠薬を三回分飲んでも眠れない事態に陥ったことを知る。いわばキャロルへの愛を再認識したのだ。俺から言わせれば、キャロルは俺が死んでも一生ひとりでいるべきだし、そうあって欲しい。切なる俺の願いだ。隠居生活のように世間から少し離れた場所で、孫達と幸せに過ごして欲しい。しかし現実俺が死ねば年金は半分になって、とても生活の基盤が磐石とは言えず、またまた眠れなくなるのだ。キャロルの教育方針は子供達全員に上ふたりの父親の存在が違うことを割かし幼い時代に教えた。隠すことをやらなかった。それがキャロルの子育て、俺はキャロルの手腕を信じたし、決して口を出さずにいたのだ。