みんなに心配掛けたが、三男の職場復帰も近い。病院精算のとき、もう一回、豊橋に行く積りが俺はもう行けない自分に気が付く。お金がないのだ。確かにトラノコはある。これはしかし手を付けられない。ふたつの病院費用や旅行代金、すべてを合算して四十万掛かった。二つ目の病院は長崎から今日振り込んだ。子供にとっての親の立場はいつの日にも頼れる存在であること、そこを思えば一円の貯蓄も五十代後半までしなかったキャロルはどうなるかな?しかし、可愛いかな、この三男、俺が名古屋の病院に行ったとき、なんでお母さんは来ないの??って。息子は後から、お母さんはやっぱり、来なくてもいいって、神妙な顔で言い直したが、俺は開口一番の息子の言葉に感動した。母親とはやはり、偉大な存在なのだ。金銭を持つ俺など足元にも及ばないと。