サファイア・マン《緻密な男編》〔40〕あゆみちゃん!!とキャロルは勤務が終わったあと、奈々さんに呼び止められます。キャロルはきたぞ~と思います。私の着ているこのうさぎのコートをあゆみちゃんにい・つ・かあげようと思っているの!っていう言葉がキャロルをくすぐります。いよいよあのコートの授与式なのか?と。キャロルはその頃、とんでもない格好で夜の街を闊歩していたのです。ノーマカマリのルビー色の首巻です。長さがケッコウあったので、それで、我慢してコートも買わずにうろちょろしていたのです。奈々さんのラビットコートは重量感がありうさぎも本場外国のウサギの毛が三色ミックスという豪華さ。キャロルは左右に巻き上げるノーマカマリをトップの女性にそれいいじゃない?ニューヨークのブランドね♪と誉められたこともありずっとそれを巻いていたのですが、さすがに寒い・・・ぶるぶる震えていたのを奈々さんは見ていたに違いない?と。あゆみちゃん、悪いけど仲正〔なかまさ〕で待っててくれない?今夜は私がご馳走するわ~キャロルは五目うどんを頼んで先にたいらげてしまっていると奈々さんはしつこい顧客を巻いて来たのよ!と言って座ります。仲正はクラブの二軒お隣でした。本当に出汁がおいしくて、特にこの五目うどんの華やかさにキャロルは参ってた。奈々さんは梅干うどんです。そして・・・その素うどんに梅干が一個入っただけのうどんをすすりながらこう話すのです。あゆみちゃんは、うどんでいえば、この梅干うどんと言えなくはない?って。キャロルは少し残念に思うのです。女子大生と見間違われるくらいのキャロルに梅干うどん?って。・・・・沈黙がふたりの間に流れます。