ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔88〕このロイヤル・ボックス編が新機軸の巻頭になったことは嬉しいことでキャロルご満悦。それというのもこの物語に賭ける意気込みが他とはちょっと違うし、飲食業のカナメになる部位だからです。酒、タバコ、そして夜、ラウンジ、会話、売り上げ、接待、いろんな言葉があるこの夜の世界の真相を知らない限り、モノカキとしての成就はない・・・・。そう見越していたのです。いわゆる潜伏取材を兼ねていた。その頃の26歳の身辺はこうでした。二歳七ヶ月の長女と、生後七ヶ月の長男。この男の子の首が据わったらキャロルは夜の世界を覗きに行こう!とそう決心していたのです。ただスナックはすでに美容学校の時代、22歳で勤めましたので、今度は出来るなら別のゾーンを覗いてみるのも?とこころに拍車が掛かっていたのも事実。その頃は、実家にお金を無心して、生活費を工面する毎日。ほとほと疲れきっていました。物をしたためて送付しても没ばかり、収入を得るためには、地道に昼の仕事を探した方がいいのでは?と幼馴染のエイミーにもアドバイスされますがキャロルはアマノジャクでした。人が推薦する逆を見たいし、観るべきだ!と思ってしまうんですね。夫は紐状態でくっついて離れません。キャロルの中で離婚は成立していますが、法的には違っていた。たとえ、どんな状況であっても生活費は循環を余儀なくします。キャロルはあの長崎大水害の日に不思議な体験をしています。