俺の入行は昭和37年、奇しくもキャロルの弟が生まれた年である。俺は以前も話したと思うが、三和銀行、三菱、そしてもう三菱関連を落ちて、がけっぷちだった。高校三年だ。しかし、みんなに言いたいのが、ついのスミカだと思いすぎないことなのだ。もしもそこに落ちても必ず、拾う神はある。捨てる神があったからこそで、俺の兄貴がそうだった。菓子職人で弟子入りし、七年も勤めたが、やっぱり捨てられないものがあった。自動車修理だ。やがて、俺は高校時代、伯父さんの修理工場で兄貴と同居。好きなものからは逃れられないサガを知る。そこには、子供達が五人もいて、俺と兄貴に回ってくる食事は食べ散らかした残り物。ほとんど芋だった。俺はだから、芋のさつまが嫌いだ。男でも女でも俺からイモと言われたら赤信号、覚悟してくれ。