俺ほど、幸せな行員はいなかった・・・改めて思うのは、そこである。合併して親和銀行になろうとしたときに、俺は定年だった。噂は流れた。九銀を背負って、その重たさが要因でこたえたとか、九銀出身者はいじめに遭いやすいとか・・・。俺は自分がもし、その立場にあったなら、どういう対策を採るかな?ってよく考えた。結果を出せ!と、簡単に言うことを俺はあのときから止めたし慎重に捉えるようになった。仕事を与えられず、冷遇されれば、結果からは遠くなるばかり・・・・・・。俺は打たれ強い自分の経験を思い出すのだ。銀行の組合から突き上げられて、大変なことになった・・・と戸惑ったときに、かつて、若い頃、自分が組合の書記長なんかを任せられていた思い出が蘇り俺に新鮮な感覚を呼び戻す・・・。俺はいつか、幹部の方に括られて、命令形のニンゲンになってしまったこと、ここなんだ。