ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔77〕普段は激しい喧嘩で、キャロルのこころを逆撫でする二人。両親の関係が別人同志になる、そういう時がありました。キャロルは高熱をよく出して両親を地獄に突き落としたのです。そのチトセピアあたりを今、車で走るときには、いつも思い出す・・・。父はいつも優しかったけれど、母が温厚になるのは、キャロルが熱を出して危ないとき、そして決まってふたりは、ごんどう小児科に走ります。熱を出している赤ちゃんにとって、その搬送こそが体に負担が大きくて辛かったのですが、ふたりの会話を聞いていると、なんだか、病気が治るよりもご加護があるように思えてくるのです。あの母が本気になって、父に問い掛けているのです。明日にはきっと熱は引くよね??って。当時はお尻に入れる座薬などはなくもっぱら注射でした。キャロルはもはや、打つ場所さえなく、太ももやお尻に注射されることも・・・。筋肉萎縮に後年気が付きますが、これは夫婦のノーベル賞の筋肉の印だ!!と。わずかな時間だけれど、夫婦お互い声を掛け合い、励ましあいながら帰ったあの帰路を思い出すのです。熱は引くときもあったけど、何日も尾を引くこともありまちまちでした。まだまだ、温情や機転はあるかも?とキャロルは期待します。これがこの夫婦の原点なら、どんなに辛くても自分が耐える甲斐があると・・・。女性の自立を言うなら、仕事よりももっと大切なものがあるし、その提示でした。家庭で子供を育むことは大前提なのでは?そして、時代がどんなに変わってもそれは不滅なのでは?と。キャロルはそこに気が付かせた父の功労を思うのです。