ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔84〕大きな負荷が父には掛かっていて、それがキャロルの起こした事件でした。この事件で両親は新天地について考慮します。それはアパート内で、他の子供達と遊んでいると、遊ばせないように他の親達がすぐさま行動をとったりと、当たり前は当たり前でしょうが、キャロルは孤独を味わいました。男の子を寝かせて葉っぱで消毒し注射の真似をします。お医者さんごっこですが、男の子の母親はびっくりして駆け寄り、ダメよ、遊んじゃダメと、無理やり連れ去っていく。そのことを両親に話すとふたりの顔に不安が漂います。疑心暗鬼ではないところの強い将来に対する懸念でした。母はもちろん、タヤの居る父の実家の矢上には転居したくはありません。教育的に秀でるこの土地柄は最優先でしたから。しかし父は意外なことをもちかけるのです。嫁姑一緒に生活することの難点は、出来る限り排除し対処する、たとえば、階下の住人とは食事も一緒でなくていい。これには母がびっくりしていました。そして父のある言葉が母を導いていたのです。東望の浜海水浴場、この美しい遠浅の海水浴場、あの美しい砂浜で、容子が毎日のように遊ぶことを想像してご覧?母はまだキャロルが小さいとき一度遊びに行って、腰をおろしたあの砂浜を思い浮かべます。そしてどういうわけか、この時、父の言葉に脈があることに気が付くのです。大自然が傷ついたニンゲンを元通りにしてくれるんだよ・・・・。