おじいさんとお孫さんの姿・・・

 この光景は実に衝撃的で私の人生を変える・・・というほどの出来事だった。いつも私は古い因習や国家の決め事に背を向けて来たはずが・・・おじいさんはきりりと帽子を被ってその三メートルあとをお孫(10代)さんはついて来ていた。私が見る限り親子ではなく、やはり祖父とお孫さんの男子とお見受けした。少し障害もあるのか、歩く姿にたどたどしさを見せていた。微笑ましいふたり・・・私は信号待ちで車の中でおふたりを見ていた。その日、日本は旗日・・・ある民家の前に国旗が掲げてあり、おじいさんはすぐに帽子を取って国旗に深々と頭を下げ、お孫さんもそれを見てすぐ後ろで同じ仕草に出た。私は自分の中にある遺伝子が身体中を駆け巡る音を察知していた。かつての日本男児の姿そのままを目の当たりにして自分の中で眠っていた遺伝子が目を覚ましたように騒々しかった。おふたりは馬町の地下道に消えていったが私にはいついつまでもふたりの清々しい様子が消えない。車を運転しながら偶然にこういう光景を見て頭に焼きつけてしまったのも初の出来事であった。