デニム・ブルーママン19の12

 

限られた枠内で生きて欲しいが周囲の要望でした。皆が手堅い日常を生きていたからです。容子は辛抱が板につかず彷徨う様相がはっきりあったのですが、完全に私には飛び込んでは来なかったのです。生き方を生まれて来る前から、定められていたのだとすれば、納得は行きますが、当時は、我儘としか、周囲は受け止めず、難しいバリアにいたことは自明です。迷うから人生は美しいなど、言えない厳しい局面が対峙を、迫っていました。暫く考える時間は必須だろう…わたしはピアノに向かい爪弾く容子の心そのものをそのとき、捉えた…と確信しました。一瞬しかないけれど確かに容子は一度は実家に戻って来たのです。