デニム・ブルーママン19の5

 喫茶店に、まさおくんと、そのお父様がコーヒーを飲みに来るくらい、親子の関係は良好で、傍らで見つめる容子には音楽を軸に成り立つ会話を耳にすることで、音楽の起源にも及んでいたのでしょう。最初からふたりの間に入ることは無理。しかし、五線紙という、特別なバリアが存在していたようです。やがて、容子は喫茶を辞めて、お父様が正式に私の家に挨拶に来たいと申し出があるものの、夫は会うことをよしとはしません。娘の容子を他に取られてしまう恐怖や戦慄が先に走ってしまったことが原因で、私は無理に仲介はせず、ふたりの意思に任せていました。