ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔136〕キャロルの父から離脱したい気持ちに母は気が付いていて、それでも大きな気持ちでキャロルのしたいようにすれば?などという容認度はまだ母にはないものの、いずれどんなに束縛してもこの娘が離脱していくことを母は知っていたのです。まさお君のお父様にしてみればあれだけの屈辱発言を受けて考えないわけありません。バンドマンは芸術家ではないのか?っていう観点です。父が発するのは差別発言にも等しく、どうすれば自分の論理がストレートに父に伝わるかを彼なりに自分の中で突き詰めていたのです。ここではバンドマンのプライド云々よりももっと大事なものが根底にあることをまさお君のお父様知っていたのです。父をここでは敵としたためましょう。教育に深く関わってきたという父親である敵と同様に自分もわが息子が可愛い。しかし・・・肝心のまさおの気持ちどうなんだろう?って。まさお君はキャロルと同い歳でありながらその考え方においてまだ、方向性が定まってはおらず、音楽に興味を持って自分とバンドを組んではいても、どこかちぐはぐな面があり、その判断にも迷いがあったのです。子供を自分が引き取り、どうにかこうにか育ててきたもののまさお君の心を本当に見つめ彼の気持ちを優先してきたか?父親としての自信そのものがなかったのです。