デニム・ブルーママン18の11

 容子には突拍子もない性格が潜んでいてそれが露呈する場面がありました。ゴリ押しして自分のペースに巻き込む妙な力?妙に説得力があるのです。新聞配達の仕事が翌年3月になって、自分が4月以降は無理・・って店主に伝えたときです。店主も働き手を失うことは避けたいからこう言ってきたといいます。それは、すぐに了解とはいかない。替わりにアルバイト出来る人がいたらぜひ連れて来てくれって。しかも容子は純心短大は落ちて外国語短大に合格していたので、店主の方が、学生だからアルバイトは出来るのでは?が頭にあったようで、あたし達があえて、そこは見守って何も言わずにいた場面でした。あろうことか容子は替わりに新聞配達するスタッフとして幼馴染のエイミーを抜擢し、三日間掛けて、リーズナブルに120部を配達する方法を朝っぱらから伝授していたのです。この辺がやはり通常人とはかけ離れた点で、それを聞かされたあたしは、泡を吹きそうになったことを覚えています。エイミーは商業高で一流の企業に就職を決めていた富豪の家のお嬢さんです。そのかたを自分の後釜に?しかも私の家の五右衛門風呂の薪はエイミーの家の横の木材店から破格で分けて頂いたもの・・・こうも貧富の差が眼前に立ちはだかっているのに、なぜ、エイミーは容子の要請をすんなり受け容れてしまったのでしょう。たぶんゴリ押しをしてくる容子を避けては通れなかった・・・優しい娘さんだということがみんなにも一目瞭然ですね。(24344)