イエローダイヤ・マン1557

 

明日はとうとう四年忌を迎える。夫が亡くなってこれまで三年の歳月が流れていった。亡くなった年をすでに一年と数える方式なので2023年で四年忌になる。僕はそのことですら、随分後年になって知る。社会の構図やしきたり、そして社会通念というものを僕の母はまったく教えてくれなかった。いつも笑みを浮かべて僕を遠くから眺めているだけで、他の親類たちが、もうそろそろ、容子ちゃんに、しきたりを教えてやったほうがいいんじゃないの?社会から離脱してしまうわよ?って注意を促されても母は応じる様子はなかった。しきたりや因習の中に恐るべきものが内在することに母は気がついていた可能性がある。自分がいいと感じたものを取得しなさい!!が母の本能の中に根付いていたことは嬉しい暗算で、人々がそういうおかしなものに追従していくときに、違った姿勢を取れると踏んだに違いなく、勇気の要ることだけに恐れ大きな心境になってくる。夫に対する構えも同じだ。相手に尽くすことは介助の類ではないことを暗に示唆してくれた。夫も成長し、みずからも一緒に成長していく姿。きっと黄泉の国で、夫がもっとも望んでいることを僕は今、体現できている。自信がある。それは明日で四年忌を迎えるという節目だからこそ言える。(24335)