デニム・ブルーママン14の17

 みんなが幼い頃に自分がなりたい職業、一度は真剣に考えたことがあると思う。いきなり覚醒することもあるでしょう。誰かと知り合い、その場で洗脳されたみたいに、自分は出来る・・って概念を構築する。政治家だって音楽家だってそして学校の先生だって宇宙飛行士だってみんなに夢があった…その夢を今まさに体現している・・ってそこを痛感して、途端に嬉しくなります。個々にちゃんと与えられたシフトがある。神様から授与されている。神という言葉を私は容子にまったく伝えては来なかった。私自身がそういう育成をされてはきてなかった。信心する心よりもむしろ生活習慣を叩き込まれて青春時代を過ぎていったことを覚えています。長時間の自由などありません。しかし・・・思い出すのはそれでも家の中は軍国主義ではなく、母がすべての権限を持っている嬶天下だったという面白さです。父は寡黙で細かいことをごちゃごちゃ言うタイプではなく常に基本をまっとうしてさえいれば、お互いの自由さを分かち合える度量を持っていました。むしろ母が神経質で礼儀作法や対人面でもうるさかったのを覚えています。私は姉と妹に囲まれて自分をあやす時間と空間を持ち得て、幾分横着になっていた部位を否めない。誰もが私を大人しくて間違いのない女子だと目算していた。それがあるゆえに、殻に入って演技をしていたほうが楽だったのかもしれない。容子を見ていつも笑いがこみ上げて来るのは自然現象で顔が面白いだけでなく仕草がゴリラに似ていたこともあったのです。

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