エメラルド・ウーマン10

 どれくらい、苦々しい気持ちで私が容子の母を観察していたか?口に出しては言えなかっただけに、当時がダイレクトに蘇る。私の弟を下男のように扱いしかも、誰とすれ違っても、ほとんどスルーのこの嫁に、誰一人、一撃を加えないのが不可思議も不可思議。弟は完全に掌握され縮こまっていたのです。おまけに、私の母は、無視されているにも関わらす、あん人は、腹ん中は、綺麗かばい…って褒める。なにゆえに?と私は戸惑う。自分の母は間違ったことは言わない。それもあり、思考が止まったのです。長崎では、腹が立って相手に嫌がらせするとき、こんつきしょと言いますが、正に私の心そのものでした。こんつきしょという恨みの気持ちで懲らしめたい相手こそが容子の母親だったのです。