デニム・ブルーママン14の3

 時折思い出すことはあった。担任だったクラスの生徒、容子ちゃんのことです。清楚で頭が良くて常に人のことを思いやる生徒。あんな女子になったらなあって憧れで願いで容子に名前を付けてしまった私。悔いこそありませんが、まだ、どこかに迷いがあったのです。年中さんのときの事件がそれほど私を苛むのも、私が自分に何を課して行けばいいか?根本を掴めないでいたからだと分析します。人生でもっとも何が大事か?事件が起こる前までははっきりと鮮明だった。利発でなければならないはまず第一に挙がっていた。しかし、優しさは?私の中にそれは最後尾につけていたかそれとも添え書き程度?自分でも恥ずかしい。容子ちゃんのことを回顧するたび、あの生徒なら?どういう行動に出るだろうか?って思いを運ぶのです。罪を犯した生徒でも、あの子なら進んで仲間に入れるでしょう。しかし・・・そもそも新天地を選んだことで誰も知らない。私は自分の本当の姉妹にすら話さなかったからです。相談する人が存在しない中でやはり夫だけは戦友みたいに思えるし、何かことが起こったら彼に任せるしかないは決めていました。容子はバレーボールでポジションを獲得してからはどんどん自分の意見を言うようになったと聞きます。キャプテンではないけどポジション確定は劇的な変化だったようで、ちゃんと何回も熟慮を重ねて、みんなの前で持論を力説するそうです。夜、自宅横で練習していることはチー厶メイト全員が知っていてこの事実は大きかったのです。

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