デニム・ブルーママン12の4

 f:id:hn0709:20211119174133j:plain劇的に何かが起こる訳ではなく、手紙を男の子に渡したい気持ちでアパートの玄関に立つと、お母様が、目の前にいらっしゃって、咄嗟に渡して帰った顛末を聞き私は少し驚きました。本当は家族の方に知られず、そっと渡したい気持ちがあったのに、思わぬ方向へことは進んでしまう。でも、家に戻る帰り道、ひとり、とぼとぼ歩いていると、彼は友達と一緒にこれまた、自転車でもの凄いスピードで追い越しを掛けて来て、前を見るともう、見えなくなっていたそうでほろ苦いばかり…。考えてるだけで良かったのでは?恋を打ち明けるなんて、途方もないこと。容子はそのとき、悟る…滅多にはないし、起こらない相思相愛について…。もしも、それなら、どんなに嬉しかったでしょう。彼は手紙を読んでも、それについて、一言も語らずじまい。容子は恋愛についてそれから暫くは語らない性向に傾くのです。