デニム・ブルー・サファイアママン8の17

 ともすれば女子は常に男の影にいて、しゃしゃり出てはいけない、そういう、まやかしは通用させてはいけないルールで日々いたことは、容子は快適に捉えたと思います。夫は陰気ではないものの、物事を常に理性や因習で把握しようとする性質でした。私はそういうマイナーな生き様は最初から否定的だったし、また、戦前に戻る要因になると、疑念を持ったのです。容子は自分の中で考えることは、すべて、表に出して意見を云う明るい性向になっていく。もう、事件を起こしたことさえ、忘れ去ってしまうのか?と私はそれでも、良いのでは?とさえ、思うのですが、違うと云うのです。どんなに時間が経とうと罪は消えない…それは永遠に頭から離れない痕跡だろう…と。じゃあ、ずっとそれに繋がれているのか?とあたしは苦慮しますが、逆にこう捉えると云うのです。時間が過ぎても留(とど)まるものが人間の思索なのだろう…と。