デニム・ブルーママン16の15

 今日は私もちゃっかり加担して刑事コロンボから啓示コロンボを新語として挙げておきましょう。もうすでに皆も知っての通りこの刑事の気質は私の夫の性向を100パー丸ごと受け継いだもの・・・初の近衛兵を授かる濱田家の血統としてあったもの。夫は和田家の血が混じって濱田家の伝統をすっかり受け継ぐとは言えませんが、負の要素も最初に鑑みる性向を持っていました。疑い深いのです。疑心暗鬼率はむちゃくちゃ高い。私はそういう男は嫌悪しました。容子もその傾向、疑ってかかる気質は幼い頃から持っていたようです。結婚生活に異議を唱えていたのです。赤ちゃんで電灯の下に畳に直に寝かされて寝返りも出来ない頃から、この夫婦のもとにあることがまず危険だ・・・と察知をしていたのです。

 折り合いの良くない夫婦でした。私のほうが全権を握り、夫はちゃぶ台返しを毎日のように浴びて泣いている・・・わたしはしかしあえて、この現状を子供の目の前でリアル見せてやることが最高のシネマだと踏んでいたのです。敗戦で日本の男は大事なものを失っていたからです。プライドではない。もっと遥かに崇高なものです。最初から物事を決めて懸かる負け犬的な弱さ・・・そういう悲しい性を私は嗅ぎ取っていたのかもしれない。しかし容子はまだ、乳飲み子です。怖かったに違いありません。だから、私の課した英才教育も飲み込むしかなかったし、安全である為に、母親の私を満足させたい・・・と目論見を立てて挑んだ。夫の教育熱と私の教育熱はまったくその頃、容子の15歳の頃は違う道をそれぞれ歩いていたことは否めません。