アクアマリン・マン156

 壮絶なパワハラを描いたNHKのテレビドラマを見て容子は溜飲を下す。これなら何だか、安心したわ・・・って俺のことと比較してこの物語の方が数倍ヒドいことに気が付く。六畳間のピアノマンだ。加藤シゲアキがいい!!等身大にして二十代三十代のビジネスマンを想定させた点で親しみが持てるし、大袈裟に見えるが、ああいうパワハラは実際あると僕も想像の範疇だ。なぜなら僕はその時代を生きて管理職になったからだ。最初はずっと支配下だった気がする。上役には尽すことは当たり前。全部従う。思考経路はないも同じだ。しかし僕はある日、豹変する。この手法を転換してもいいくらいの上司に出会ったことがキッカケだった。君の思う通りに運営したまえ!!そ、その言葉こそ、不案内な言葉だった。ある程度、仲の良い繋がりのある店長なら分かるが違っていた。僕は主任にいきなり抜擢され、銀行の渉外担当行員たちのトップに立つ。まだ二十代だ。僕のさい量を認めてもらえた・・・・暫くは声が出ない位、気分はウワずる。しかしじょじょに慣れてくる。難問が次々勃発し、否が応でも矢面に立たされる。僕の意見をなぜ尊重してくれたのか?そこを一回、質問してみた。すると意外な答えが返ってきた。僕の案よりかなり良かった・・・ただ、それだけのことだよ?って。尊敬出来ると僕は確信したしその時、抑制もした。褒め上手なだけではないのか?心配はそこだけだった。