デニム・ブルー・サファイアママン15

 悪夢は日を置かず容赦なく出て来る。それを抑制したくても調整出来ない。私こそは不遜な娘であったかもしれない。その夢から覚めたとき、すでに亡くなっていた父であって良かった・・・ってどこかで安堵している。これは自分が許せない暴挙で何度も打ち消す。しかし生きていれば父にもお咎めは延びてきただろう・・・そこまで踏まえると自分の思考の決着は正しいのだと、そっちへ持っていこうとしても結局だめなのです。善の自分が許さない。たとえ、どんなお咎めは待っていても、娘なら、父親が生きている方を選ぶ・・それが正しい思考回路でしょう。しかし私は不肖の娘だったのです。それは取りも直さず、きっと自分の中で消化できてはいない思想の断片があってそれが関与しているとは自明でした。ここまでの鮮明な線引きはない。戦前と戦後。しかし際立っているのは戦中です。そこが世界から埋没していた。あんなに頑張って命まで賭したのは果たして何だった?いかなる運命だったんだろうって。私はまだ、25歳の若輩者でした。教師としても経験が浅い。だから深く考えることはやめたのです。怖い夢を見るたびに父を見るのは辛かったけど、そのあとの、これは夢だったのよ・・・の自分が実はそのたび、解せなかった。こういう気持ちは軍人の家族には皆あったでしょう。