Ss323

 姉が僕のところに訊きにくればすぐにも教えてあげたいと思う。しかし僕が担保に入れて融資して貰った先を、姉はあえて訊いてはこない。恐らく軍略家とはここでの線引きかなって僕は思う。なぜなら同じ先が将来に於いて適宜なのは言える。なんで五十坪を半々に??僕が業者だったら嫌だ。遠くて遠くはない将来を考えるから嫌だ。しかし姉は眞逆を考えている。違う業者の方がおもろいっていう線。そしてそこを生かそうとする。何も強制はしないし自分の中で決定打もある。以前売ろうとして見積もりを持って来てくれたっていう業者。恐らくそこに姉は電話を掛けるだろう。義理人情の厚い姉。一回でもお世話になって自分の家のポストまで見積書を持って来てくれた恩義を姉が大事にするは自明。そういう認識であれば世渡り盤石と世間は言うのだろう。僕は利息だけを支払い、家に棲み続けることが出来るを考案した実勢を凄いって思う。担保に入れた人間が亡くならないと動けないのに待つという動作に参る。税金等の穏便な解決までやる。普通の人間に出来る技ではない。この商売こそは、長いスパンを味方に付けて、虎視眈々と土地開発を意識下に置く宇宙人達の創造性を駆使した事業だと僕は固唾を飲み込む。毎日を人様に気兼ねせずしかも、我が家で暮らせる。その方向性はまたとない。