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 これまでどのバイト現場でも流したことがない汗がこの店では流れて来て、しかもそれが姉の瞳の中に入って酸っぱいと言う。いや、これはしょっぱいという表現が的確だろう。なぜ、こういった激務にコンビニはなってしまったのだろう。ひとつは揚げものを進化させることで解決すると僕は思う。顧客はいつでも温かい揚げたてを求めるがそこまで人員がいない。そこを無理強いしているのが今の現場だろうし、商品が無くなって、店主は十万円も補填したと姉は訊かされたという。煙草が半分であとは他の商品。なんという無防備だろうか。何か原因があってそうなったのか?そこは分からない。しかし経営者の悩みは分かるとしても姉が入店した途端、そうなったかの如く言われればいい気持ちは決してしないだろう。姉もお人好し。全部、飲み込む。そういう苦渋も飲み込まないといけないのなら僕だったら辞める。なぜならあなたが入って物が消えているって言われて、ニコニコしていたならそれはほんまもんの馬鹿だろう。言い返していい場面で僕はそういった姉の馬鹿さ加減が嫌だ。嫌悪してしまう。溜飲自体下りない。しかし・・・別の見方も出来る。疑われているからこそ、辞めるに辞められないっていう事態。これなら僕にも分かる。商品が足りない、そして注文しただけの個数も合わないってなれば誰だって新人を疑うだろう。この雲行きもどうにかしないといけない。姉もそろそろ堪忍袋の緒が切れる頃だろう。仏の顔も三度までと言うからだ。