僕は飲食業の過酷さを思い知る。あんなに気持ちが輝き捲っていたのに現場の労働の厳しさに、のたうち回る。今、辞めたならある程度、心が傷付かずに辞めることが出来るのかも?ってかつてあった雄雄しい希望はお惜しい落胆に豹変してしまう。たったの四日で崩れ去るなど誰が想定しただろう。僕はこれまで自分が世間様でいう処の普通の良識や家庭的技術があるとそう発奮していた。皆に比べて負けじ劣らじという処の自信はあったのだ。しかし僕は失望の根源を話すことも大事だと首を掛ける。それは品物に賞味期限があって、朝、納品された商品を収納する時には当然新しいものを奥に入れて、古いものを前に出すのだが、それが億劫でならず、どうかしたら期日が一緒のものもあって、なんでこんな七面倒臭いことをやらないといけないか?全く解せない。一日でも違ってたらいけないという。端的に言うと賞味期限に踊らされていると思える冷蔵庫内の整理整頓作業だ。一日くらいっていう誤差を許さない日本の衛生管理面に於ける秀逸さは世界一を誇る。ひとつひとつの作業はそれらの栄誉を支えていることも分かる。しかし僕は到底説明のつかない疲れ方をして精神の疲弊を禁じえない。僕に不向きだったことはあからさまになった。この露呈を僕はあえて隠さない。現場で仕事をそつなくやれる人々の仲間に入ることは無理だった。僕はダメ人間のシャトルに差し戻された格好だ。