スノーサファイア・マンss19 不思議な光景で僕は眼を見張る。なぜならその坂道は右折しながら急坂を登るのだ。一気に登って猫の額のような駐車場へと着くのだが、僕は前の車がその短い坂道を登れず、苦慮しているので、駆け寄って話し掛ける。どうしたんですか?このパーキングはどういう訳か、高級車だけが登ることが出来ないという不思議な坂なのだ。それを僕はよく知っていた為に、余り早くハンドルを切らずにもう少し大回りにきってみては?とアドバイスすると右の前の車輪がどうなっているか見ていて下さい!!って運転者が言うのだ。空回りしていることを伝えるとその高級車の男性は登ることを諦めて、別のパーキングに停める。なんてことない日常のオムニバスだが、僕ははっきり時代の分かれ目だと覚醒した。こんな究極のロジックはない。高級車イクオール坂道万全と、うっかり信じ込んでいる僕達の日常が、脆くも崩れ去って、そこにすいすいと停めることが出来るのは軽。きっと小回りが利くからだろう。ハッチバックの普通車なら大丈夫かもしれないがすいすい登っていくのは全部軽。ご多分に漏れず、みんなが、ええ?とのけぞる場面だろう。高級車には弱点なんかある訳がないっていう表情。これは応用出来る。新しい時代を切り開いていく時の、先行キーワードになる。俺は弟ならそこにすぐに気が付くのでは?を徐に思ったのだ。