ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔245〕長崎弁でのぼせもんという言葉が当時の父にはピッタリで、そのエネルギッシュに押されていたようちゃんの一面にも、一卵性父娘なのでは?との発想が見え隠れします。二人の子供が落ちこぼれの烙印を押されているのに、そういった行動に出れる逞しさ。母や弟は呆れ返っていたのに、ようちゃんに父と同じ素質は隠れていたという証明かもしれません。父の行動を軽はずみだ!!とするのはとても乱暴のようにようちゃんに映ったし、誰もが父が当選することは無理だ!!とそう言ってきかせようとしたのですが徒労に終わるのです。ようちゃんは前の旦那ですが、ポスター設置など手伝いをお願いしたらすぐさま快諾してくれてそれで、結婚を決めたような節もあったのです。とにかく反対する者たちばかりが幅を利かせていることがようちゃんのやる気はおろか、父の闘争心をも刺激してしまったから不思議な選挙戦だったのです。その投票日に至るまでの日々は今振り返っても、自分が持つ躍動値をすべて出し尽したもので、その時の母を思い出しては噴き出してしまうのです。何と母は皆に言われておにぎり作りを手伝ったけれど、一日で喧嘩しておにぎりを投げつけて帰って来ていたのです。しかし後から考えると、あれほど、嫌だ!!と言った母が選挙事務所まで来ていたことが奇跡ではなかったか?と。