ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔246〕私は将来の自分をこう推定します。詩歌や文学で名を馳せて飛ぶ鳥を落とす勢いを奪取するって。でも全く別のことも頭に描きます。その頃から父の政治熱は苛烈を極め、歴史や経済について活発な論議を持ち掛けていたのです。ようちゃんには作曲もあるし、とても、父の考え方について行けない自分の状況を吐露するのですが、父は頑強ですべての基礎に学業があることを説くのです。しかしようちゃんは幸せでした。商売人の子弟たちにも父が愛情を注いで、商売の基本もよくは知らない父が、今のようちゃんのローカルガイドのような動きに出ていたことに、唐突にも胸がじんとなるのです。長崎の銘菓はほぼ食べ尽して行くそれからの父は、グーグルガイドにふさわしい鞭撻力と伝承力を持っていました。どれくらい美味しいかを長崎弁で話すのです。さぶなかと言う時は、物足りない時で、ウマカと言うときは最高称賛辞に値します。その舌道に気が付いていたならいたで、旅行のひとつも連れていってあげたかった。父の希望を裏切ってしまいました。タヤの宝物だった和田家の家も土地も差し押さえられてしまったのです。すべて不徳の致すところ、この苦難をきっと将来、笑顔に替えられるようにと、ようちゃんなりの努力の行脚は続いていくのです。