ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔240〕こんがり日焼けした顔がてかりを帯びて見えました。コンビニにも売ってないような、超大型の紙袋にお土産のらしきものが詰め込んであるのでしょう。重たそうなのに、預かることが出来ません。このお仕事の現場でそれを受け取ることは場違いのように私のみならず彼も同意しているようで、気になるお土産の中身を訊こうとした時です。マエダンが隣に座って来るのです。そして、何食わぬ顔で、ひとりで飲み始めるのです。キープは親友のものを出していました。彼は気さくで面白くて男性からの人気は絶大なものがあったんですが、決してダンディではなく、女性の心を虜に出来るような人ではない。そこが又長所でもあったんですが、この期に及んで、席を隣にされると男性もこれって、何かあるんじゃあないか??って気を揉むのではないか?と心配になるのです。こういう時は早退でもしたい位ではあるんですが、それこそ、職務怠慢だと評価される?って自分を諫めるのです。何か機会を捉えてその船乗りにも徐々に話し掛けているようで、ようちゃんの心はびくびくしてしまうのです。船乗りは、上品で、タンカーに乗って外国航路を経験しているだけのりりしいの顔を持っている。キリリとしているのです。知らない人に何か訊かれてもほいほい答えない。しかし根っからふざけた野郎のトリックを、マエダンが持っていることも怖ろしかったのは事実です。