エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔73〕初めて里子をお風呂やさんに連れ出してくれた人物をいまだに忘れられなくてそっと記憶を手繰り寄せる。その人は里子よりも六歳上で不倫関係に身をやつしている人だった。若い時に離婚してパートタイマーで子育てもして息子三人を立派に大きくして、暇な時間帯をパチンコに使うという自由気ままな生きざま。その彼女が孫の面倒も同時に看ていて感心した一幕があったこと.....ほっともっとに勤める娘を紹介してくれる。彼女との親交が里子の心をよりハイレベルなノスタルジックに誘い込み、人生で最も心安らぐ場所はこの二つだと思う!!ってパチンコとその長崎にあった極楽湯の窯湯に入って談議したことが忘れられず、その時に娘さんが男児も連れて来ていて、そうなれば彼女は三人の息子達と娘ひとりを、ほぼ女手一つで育て上げたんだなあって、母性郷愁のような感覚も顕著になってきて、自分は本当に彼女のような母親であった??甚だ疑問が残るかも?って自分自身に問いかけたのです。彼女にはあちこちの温泉を紹介していただき、入ってもらった生命保険は全部失効になってしまったけれど、負の遺産とは呼べない素晴らしい人脈が自分の本当の宝ではなかったか?って。保険が失効になり、行き来もなくなったけれど、余りにビジネスライクで身勝手だった自分を振り返っていたのです。