サファイア・マン《かけがいのない男編》〔173〕毎日がこういう具合に進展していくのならどんなに嬉しいでしょう。秒読みに入っていたようちゃんのお披露目を母は心から喜んでくれて、しかも城山別館だという符合にも驚くのです。母が来てくれた一泊の初日には、ようちゃんはジュエリー・ボックスから花びらを象ったダイヤモンドのペンダントとお揃いの指輪を帰り際に渡そうとしっかり宝石箱から出していました。質に入れずにこうして、数個は身近に置いていつも暇があると眺める癖があったのです。母は喜んでくれるだろうか。この首飾りのペンダントトップはダイヤモンド全部合わせると一カラットあるネックレスで、指輪も同位でした。ようちゃんには宝石店に知人を超える友人が出来て、いい商品が入ると、いつも電話をくれたりで自分で探す必要なかった。質屋についても学びます。十万円で購入したものは一万円で取ってくれるのなら少ないし、せめて二万以上で取引しないといけない。しかし好情報をゲットして購入した宝石は、三万で購入したにも関わらず、一万五千円で取引になったりして、宝石の世界に魅入られます。つまり宝石情報があるのです。これから流行るもの、需要が見込まれるもの、値が堅調なもの、ようちゃんはそれらを吟味し学ぶことが将来に繋がるとそう判断したのです。